アパレルの魅力を高める「二次加工」の基礎と活用術

アパレル商品に個性や高級感を与える「二次加工」。
プリントや刺繍、洗い加工など、ひと手間を加えることで製品の価値は大きく変わります。しかし、適切な加工方法の選定や信頼できる加工先の確保は、意外と難しいもの。この記事では、アパレルメーカーや企画担当者の皆さまに向けて、代表的な二次加工の種類から加工会社選びのポイント、商品企画の段階で押さえるべきコツまでを網羅的に解説します。
差がつく製品は加工で決まる!二次加工とは?

プリントや刺繍、洗い加工などの「二次加工」は、製品に付加価値を与える重要な要素です。デザインの表現力を高めたり、ブランドの世界観を伝えるためにも、加工具合や選定は非常に重要です。まずは、二次加工とは何か、一次加工との違いや、注目される背景について整理しておきましょう。
アパレルにおける「二次加工」の基本定義
二次加工とは、裁断・縫製などの基本的な製造工程(一次加工)を終えた製品やパーツに、さらに加工を加える工程を指します。たとえば、Tシャツにロゴをプリントしたり、ワークジャケットに刺繍を施したりすることが該当します。この工程は、視覚的・触感的な魅力を高めるだけでなく、製品の差別化やブランドイメージの構築にも直結します。特に近年は、少ロット・短納期での多様な加工ニーズが高まっており、戦略的な活用が求められています。
一次加工との違いと役割
一次加工は、素材の裁断・縫製など製品としての「形」を作る工程です。一方で、二次加工はその製品に対して「デザイン性」や「質感」を加える工程となります。たとえば、同じ白いシャツでも、後加工として製品染めを施せば柔らかく奥行きのある印象になり、刺繍を入れれば高級感をプラスできます。このように、完成品に個性やブランド価値を与える役割を果たすのが、二次加工の本質です。
なぜ今、二次加工が注目されているのか?
大量生産・大量消費から、多品種小ロット・感性訴求型の時代へと移行する中、二次加工は商品に「物語性」や「手仕事感」を加える手段として注目を集めています。また、ECやSNSでの販売においても、他商品との差別化や“映える”演出が重要になっており、デザインの仕上げにこだわる二次加工の重要性は高まる一方です。さらに、アップサイクルやサステナブル視点での加工ニーズも増加傾向にあり、今後ますます多様な活用が期待されています。
主なアパレル二次加工の種類と特徴

製品の魅力を引き出す二次加工には、さまざまな手法があります。印象的なグラフィックを加えるプリント、立体感を演出する刺繍、風合いや表情を変える洗いや染色加工など、それぞれに特性と用途があります。ここでは、代表的な加工方法をピックアップし、それぞれの特徴や活用シーンをご紹介します。製品コンセプトや素材に応じた最適な加工手法の選定にお役立てください。
プリント加工(インクジェット/シルクスクリーンなど)
プリント加工は、デザインやロゴなどを生地に転写する加工方法です。インクジェットプリントは版を必要とせず、小ロットや多色表現に向いています。一方、シルクスクリーン(シルクスクリーンプリント)は版を使用してインクを押し出す方式で、色の発色が鮮やかで耐久性にも優れており、大量生産に適しています。素材によってインクの定着具合が異なるため、事前のテストプリントが推奨されます。製品ジャンルに応じて、発色や手触りの違いを意識した選定が重要です。
刺繍加工(機械刺繍・手刺繍など)
刺繍加工は、糸を使って柄やロゴを縫い付ける技法で、立体感や高級感を演出できます。量産では機械刺繍が一般的で、スピードと再現性に優れていますが、糸の種類やステッチの種類により印象が大きく変わります。ブランドのワンポイントや社名ロゴ、エンブレムなどに多用される技術です。手刺繍は工芸的な価値を持ち、少量生産や特別仕様で採用されることが多く、製品に温かみや個性を与える手段として注目されています。
洗い加工・ダメージ加工
製品洗いやダメージ加工は、製品にヴィンテージ感やラフな雰囲気を与えるための手法です。ストーンウォッシュやバイオウォッシュなどの洗い加工は、風合いを柔らかくしながら、色落ちやアタリを表現することができます。また、サンドブラストやハンドクラッシュなどのダメージ加工は、使用感やこなれた印象を演出します。いずれも、生地の厚みや素材の耐久性によって仕上がりが左右されるため、適切な設計が必要です。
染色・抜染・バイオ加工などの特殊加工
染色加工は、製品全体を後から染める「製品染め」や、一部の色を抜いて模様を作る「抜染」などがあります。製品染めは、仕上がりに自然なムラや味が生まれ、独特の風合いが魅力です。抜染加工は濃色の生地に柄を描くのに適しており、アート性の高い表現が可能です。バイオ加工は、酵素の力で繊維を柔らかくし、肌触りを向上させる手法で、エコなアプローチとしても注目されています。いずれも素材との相性確認が重要です。
加工方法の組み合わせで生まれるデザインの幅
二次加工は単独で使用するだけでなく、複数の手法を組み合わせることで表現の幅が広がります。たとえば、プリントの上に刺繍を重ねることで、平面と立体のコントラストが生まれ、視覚的なインパクトが高まります。洗い加工と製品染めを併用すれば、柔らかな色味と風合いが両立できます。加工同士の相性や順序、乾燥・縮率への配慮を踏まえた設計が求められますが、唯一無二の製品づくりには大きな武器となります。
加工会社を選ぶ際に見るべき5つのポイント

二次加工の仕上がりは、依頼する加工会社の技術力や対応力に大きく左右されます。いくら魅力的なデザインを企画しても、実現できる加工先がなければ商品化にはつながりません。ここでは、信頼できる加工会社を見極めるためのチェックポイントを5つに整理してご紹介します。外注先選定で失敗しないために、企画段階から意識しておきたい視点を押さえましょう。
加工精度・技術力は?過去実績やサンプルチェック
加工会社を選ぶ際に最も重要なのは、仕上がりのクオリティです。特に刺繍やプリントなどは、ミリ単位のズレや発色の再現性で印象が大きく変わります。信頼できる会社は、自社の実績や過去の加工サンプルを提示できるはずです。可能であれば、過去の事例画像やテストサンプルを見せてもらいましょう。また、特定の加工に強みを持つ会社もあるため、製品ジャンルや素材に応じた適性も見極めたいところです。
ロット・納期対応力(小ロット/短納期対応など)
ファッション市場では、少量多品種・短納期化が加速しています。小ロット生産に対応できるか、繁忙期でも一定の納期を守れる体制があるかは、事前に確認しておくべき重要項目です。中には、1枚から加工を受け付けている会社もあり、サンプル製作やECブランドの立ち上げなどに重宝されます。納期トラブルを避けるためにも、スケジュールの柔軟性や事前の納期相談ができる体制があるかをチェックしましょう。
コスト構造と価格の透明性
加工費は製品原価に大きく影響します。見積もりがわかりやすく、コスト構造に透明性があることは、信頼できる加工会社の証といえるでしょう。「1枚いくら」だけでなく、版代・型代・試作費・送料など、発生しうる費用項目を丁寧に説明してくれる会社は安心です。また、ロット数や仕様変更による単価の変動についても事前に確認しておくと、後々のトラブルを防げます。
コミュニケーションのしやすさ・提案力
実際の加工現場では、仕様書だけでは伝わらないニュアンスも多々あります。そんな時、レスポンスが早く、丁寧にやり取りできる担当者がいるかは非常に重要です。また、こちらの意図をくみ取ったうえで、素材との相性やデザインの再現性を踏まえた提案をしてくれる会社であれば、より良い仕上がりが期待できます。実務ベースでの柔軟性や提案力も選定の大きなポイントです。
量産・検品体制とトラブル対応の有無
加工を量産フェーズに移行する際には、品質管理や検品体制が整っているかが問われます。サンプル段階では問題がなかったのに、本生産で仕上がりにバラつきが出た、という事例も少なくありません。社内で検品基準を設けているか、仕上がりチェックは何工程で行われるかといった体制面も確認しましょう。万が一の不良対応や再加工の可否など、リスク対応の姿勢も信頼性を測るうえで欠かせません。
企画段階で意識したい!加工を前提とした商品設計のコツ
二次加工をスムーズに実現するには、製品設計の初期段階から加工の特性を理解し、あらかじめ織り込んでおくことが重要です。素材の選定やデザインサイズ、加工位置など、後工程で手戻りが発生しやすいポイントを押さえておくことで、量産時のトラブルやコストの無駄を回避できます。ここでは、加工を前提とした商品企画で注意すべき視点をご紹介します。
素材選定時に加工との相性を確認する
加工の成否は、使用する素材との相性に大きく左右されます。たとえば、プリントでは綿素材がインクの乗りが良い一方で、ナイロンやポリエステルでは専用インクや下処理が必要になります。また、刺繍では厚手素材の方が糸の沈みが少なく、仕上がりが安定しやすいという特徴があります。加工後に伸縮や色落ちが起きる場合もあるため、素材段階での事前確認や試作検証が欠かせません。
加工位置や図案サイズに制限はある?
加工方法によっては、対応できるサイズや位置に制限があります。たとえば刺繍ではミシンの可動範囲内でなければ縫製できず、ポケットや縫い目にまたがる位置への加工は難しい場合があります。プリントでも、縫製済みの製品に対して全面プリントを行うのは困難です。あらかじめ希望の加工位置やサイズを想定し、加工会社に可否を確認したうえで、デザイン設計を進めることが重要です。
ブランド価値を高める加工ディレクションとは
加工は単なる“装飾”ではなく、ブランドの世界観や価値を伝えるための重要な演出手段です。たとえば、クラフト感のある手刺繍を用いることで温もりやストーリー性を訴求したり、サスティナブル加工を選ぶことで環境配慮の姿勢を伝えることもできます。加工の選定にあたっては、ブランドコンセプトやシーズンテーマとどう接続するかを丁寧に言語化し、加工会社と共有する「ディレクション力」が問われます。
比較表あり|加工方法ごとの特徴と用途別おすすめ例
加工方法は多岐にわたりますが、それぞれに得意とする表現や向いているアイテムがあります。例えば、Tシャツのロゴにはプリント、ユニフォームには刺繍、雑貨には抜染など、目的や素材によって最適な選択肢は異なります。ここでは、代表的な加工方法ごとの特徴を比較表で整理しつつ、用途に応じたおすすめ活用例をご紹介します。商品企画や加工指示の際の参考にお役立てください。
加工手法ごとの特徴一覧(比較表)
| 加工方法 | 特徴 | 向いている素材 | ロット適性 | 発色・再現性 | 耐久性 | コスト感 |
| プリント | 色・デザイン表現が自在、多色可 | 綿/化繊混紡 | ◎(小〜大) | ◎ | △ | 低〜中 |
| 刺繍 | 高級感・立体感あり、糸色で個性演出 | 厚手素材/フラット面 | ○(中以上) | ○ | ◎ | 中〜高 |
| 製品洗い | ナチュラルな風合い、ヴィンテージ感 | 綿/麻など | ○(中以上) | ー | ○ | 中 |
| 製品染め | 独特のムラ感、個体差あり | 天然繊維中心 | ○(中) | ー | △ | 中〜高 |
| 抜染 | 染色済生地から色を抜き、模様をつける | 濃色コットン | ○(中以上) | ○ | ○ | 中 |
| バイオ加工 | 柔らかさ・こなれ感を出す酵素処理 | 綿/テンセルなど | ◎ | ー | ○ | 中 |
※素材との相性・加工具合により仕上がりに差が出ます。試作推奨。
Tシャツ/ワークウェア/雑貨などアイテム別の選び方
加工方法の選定は、アイテムの用途や素材によって適正が異なります。たとえば、Tシャツにはプリントや抜染などのフラットな加工が向いており、カジュアル感とコストパフォーマンスのバランスが取れます。一方、ユニフォームやワークウェアには耐久性のある刺繍加工が好まれます。雑貨アイテムでは小面積での加工や手加工感が映えるため、手刺繍や製品染めも効果的です。目的とブランドイメージに合った加工選定が鍵です。
サスティナブル視点での加工方法選定とは?
昨今の環境意識の高まりを背景に、加工方法の選定にもサスティナブルな視点が求められています。たとえば、バイオ加工は酵素の力を使うことで化学薬品の使用量を抑えられ、環境負荷を軽減できます。また、製品染めによって余剰在庫の再活用が可能となり、廃棄削減につながるケースもあります。加工工程での水使用量やエネルギー消費の可視化、サステナブル認証取得企業の活用など、エシカルなものづくりにも注目が集まっています。
実際の現場から学ぶ!加工会社とのやりとりのリアル

どれだけ優れた企画でも、加工現場との連携がうまくいかなければ、期待通りの仕上がりにはなりません。イメージの伝達ミスや工程の行き違いによって、納期や品質に影響が出ることもあります。ここでは、実際のやりとりの中で起こりやすいトラブルや、加工会社との信頼関係を築くための工夫、そして成功事例を通じて見えてくる“現場のリアル”をご紹介します。
ありがちなトラブルとその防ぎ方
よくあるのは、データ不備や加工指示の曖昧さによるトラブルです。たとえば「プリントのサイズ感が想定と違った」「指定色と実際の色味が合わなかった」といったミスは、仕様書だけでは伝わらない“感覚的な部分”に起因します。これを防ぐには、事前の打ち合わせでイメージ画像や実物サンプルを共有する、カラーチップを使う、テスト加工を実施するなど、具体的なすり合わせが欠かせません。
成功する依頼の進め方と注意点
うまくいく依頼には共通点があります。それは「相手任せにしない」ことです。図案データや仕様書は明確かつ具体的に記載し、想定している最終イメージを積極的に共有することが大切です。また、加工会社の得意分野を把握し、その特性を活かす設計にすることで、仕上がりの満足度が高まります。複数回のやりとりを前提に、余裕を持ったスケジュール設計をすることも、良好な関係を築くポイントです。
加工現場を知ると商品企画が変わる
加工の現場に足を運び、職人や担当者と対話することで、商品企画の視点が大きく広がることがあります。たとえば、「この糸は熱に弱いから刺繍後のプレスは避けたほうがいい」「この位置は機械で刺繍できない」など、現場ならではの知見が得られるからです。こうした理解は、結果として無理のない企画設計につながり、加工会社との信頼関係の強化にもなります。ものづくりの最前線を知ることは、大きな武器になります。
売れるTシャツの鍵は「表現力」─ロゴ&文字デザインならアルファラインへ

2025年10月、1店舗・1棚・1デザインという限られた条件下で、月間600着超の販売実績を達成した話題のTシャツ。その原動力となったのは、ロゴと文字を巧みに活かした「表現力」にあります。商品企画やMDに携わる皆さま、ブランドの世界観をより強く、より印象的に伝えるTシャツづくりに挑戦してみませんか?アルファラインが、御社の想いを“売れるデザイン”としてカタチにします。
ロゴと文字を「売れるデザイン」へと昇華する企画力
アルファラインでは、単なる装飾にとどまらない、「伝わるロゴ」「印象に残る文字」のデザイン提案を強みとしています。実際に、ある製造工場からのご依頼で制作したラインストーンTシャツは、1か月間で1店舗・1棚・1デザインあたり600着超を販売。発売直後に完売サイズが相次ぎ、急遽追加生産が行われました。発売直後に完売サイズが相次ぎ、急遽追加生産が行われました。バイヤーからは「こういう表現ができる会社を探していた」とのお声も。アルファラインは、ロゴや文字に“人の心を動かす力”を宿らせ、ファッションの可能性を広げます。
“売れ筋”の再現性と量産体制で、安定した商品展開を支援
アパレル業界では、ヒットを「一過性」で終わらせない再現性が求められます。アルファラインでは、過去の販売実績に基づいたデザインノウハウをもとに、別ブランド・別チャネルにも応用できる形でリデザイン・量産する体制を整えています。シーズン立ち上げや新規ラインの企画段階からご相談いただければ、スピーディかつ実現性の高い提案が可能です。御社の課題やご要望に合わせた柔軟な対応で、“売れる仕組み”をともに構築します。
自社ブランドの価値を高める二次加工。
小ロットからこだわりのデザインまで、まずはお気軽にご相談ください!
企画力が光る!加工を味方にしたアパレルづくりを
二次加工は、単なる仕上げ工程ではなく、商品そのものの価値や印象を左右する“企画の一部”です。プリントや刺繍、洗いや染めといった加工表現は、ブランドの個性や世界観をダイレクトに伝える力を持っています。だからこそ、加工の知識を深め、適切なパートナーと連携することが、ヒット商品の鍵になります。
量産やコストの課題はつきものですが、それを超えて“手に取られる一着”をつくるには、企画段階から加工をどう活かすかが問われます。ぜひ、今回ご紹介した知識と視点をもとに、あなただけの魅力あるプロダクトづくりに挑戦してみてください。あなたの企画力が、次のヒットを生み出す原動力になります。